データベースをセットアップする
カンファレンスゲストブックの Webサイトでは、カンファレンス中のフィードバックを集めるようにします。カンファレンスの参加者からのコメントを永続的に格納できるようにする必要があります。
コメントは、次のデータ構造を持っています: author(著者), email(メールアドレス), text(フィードバックのテキスト), photo(オプショナルの写真)。これらのデータは、リレーショナルデータベースに格納するのに向いています。
今回は、 PostgreSQLをデータベースエンジンとして使います。
Docker Compose へ PostgreSQL を追加
私たちのローカル開発環境には、Docker を用いてサービスを運用するようにしています。自動生成された compose.yml
ファイルには既に PostgreSQL がサービスとして追加されています:
PostgreSQL サーバをインストールし、データベース名やクレデンシャルを制御するための環境変数を設定します。値にこだわりはありません。
また、ローカルホストへ PostgreSQL のポート(5432
)を公開します。これで自分の開発環境からデータベースへ接続できるようになります:
Note
pdo_pgsql
拡張は、PHP をセットアップした前のステップでインストールされているはずです。
Docker Compose を起動しましょう
Docker Compose をバックグラウンドで起動します (-d
):
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$ docker compose up -d
データベースが起動するのを待って、すべて正しく動いているかチェックしましょう:
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$ docker compose ps
Name Command State Ports
---------------------------------------------------------------------------------------
guestbook_database_1 docker-entrypoint.sh postgres Up 0.0.0.0:32780->5432/tcp
もしコンテナが起動していなかったり、 State
カラムが Up
になっていなければ、 Docker Compose のログをチェックしましょう:
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$ docker compose logs
ローカルのデータベースへのアクセス
psql
コマンドラインを使用することが便利なときもあります。しかし、データベース名やクレデンシャルを覚えておく必要があります。また、ホスト上で動いているデータベースのローカルポートも知る必要があります。Docker は、同時に PostgreSQL を使用するプロジェクトが一つ以上あったときでも動くようにランダムなポートを選択します(ローカルポートは docker compose ps
コマンドで出力できます)。
Symfony CLI で psql
を実行する際は、何も覚えておく必要はありません。
Symfony CLI は自動的にプロジェクトで実行されている Docker サービスを検知し、 psql
コマンドで必要になるデータベース接続に関する環境変数を公開します。
この規約があるので、 symfony run
を使ってデータベースに接続することがより簡単になるのです:
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$ symfony run psql
Note
あなたのローカル開発環境に psql
バイナリがないときは、 docker compose
を介して実行することも可能です:
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$ docker compose exec database psql app app
データベースのダンプとリストア
pg_dump
コマンドを使ってデータベースのデータをダンプします:
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$ symfony run pg_dump --data-only > dump.sql
そして、データをリストアします:
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$ symfony run psql < dump.sql
PostgreSQL を Platform.sh へ追加
Platform.sh の本番インフラでは、PostgreSQL のようなサービスを追加する際に、.platform/services.yaml
ファイルを使用しますが、 webapp
パッケージのレシピで既に追加されています:
database
サービスは PostgreSQL データベース (Dockerと同じバージョン) で、ディスク 1GB のコンテナをプロビジョニングする必要があります。
また、アプリケーションコンテナと DB を "リンク" する必要があります。これは、 .platform.app.yaml
に記述されます:
postgresql
の database
サービスは、アプリケーションコンテナでは、 database
と参照されます。
pdo_pgsql
拡張がPHP ランタイムに追加されていることを確認しましょう:
Platform.sh のデータベースへのアクセス
PostgreSQL が Docker 経由のローカルと、 Platform.sh の本番で動いています。
ここで見たように、 symfony run
コマンドで環境変数が公開されているので、 symfony run psql
を実行すると Docker によってホストされているデータベースに自動的に接続することができます。
本番のコンテナ上の PostgreSQL に接続したければ、ローカル環境と Platform.sh の間で SSH トンネルを開く事が可能です:
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$ symfony cloud:tunnel:open
$ symfony var:expose-from-tunnel
デフォルトでは、 Platform.sh のサービスは、ローカル環境に環境変数を公開していません。 var:expose-from-tunnel
コマンドを実行して明示する必要があります。本番のデータベースに接続するのは、危険な運用だからです。本当の データを壊してしまうかもしれません。フラグを必須とすることで、あなたがしようとしていることの確認をしているのです。
今度は、前のように symfony run psql
経由でリモートの PostgreSQL データベースへ接続しましょう:
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$ symfony run psql
接続が終わったら、トンネルをクローズするのを忘れないでください:
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$ symfony cloud:tunnel:close
Tip
Shell の代わりに本番のデータベース上で SQL を実行するのに symfony sql
コマンドも使用することができます。
環境変数を公開する
環境変数を使うことで、Docker Compose と Platform.sh はシームレスに Symfony と連携することができます。
symfony var:export
を実行して symfony
が公開している全ての環境変数をチェックしてみましょう:
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$ symfony var:export
PGHOST=127.0.0.1
PGPORT=32781
PGDATABASE=app
PGUSER=app
PGPASSWORD=!ChangeMe!
# ...
PG*
環境変数は psql
ユーティリティで使われます。他はどうでしょうか?
var:expose-from-tunnel
コマンドを実行して、 Platform.sh へのトンネルをオープンすると、 var:export
コマンドは、リモートの環境変数を返します:
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$ symfony cloud:tunnel:open
$ symfony var:expose-from-tunnel
$ symfony var:export
$ symfony cloud:tunnel:close
インフラストラクチャ情報を記述する
まだ気づいていないかもしれませんが、インフラストラクチャ情報をコードと一緒にファイルに保存することは、非常に役に立ちます。DockerやPlatform.shは設定ファイルを使って、プロジェクトのインフラストラクチャ情報を記述します。新しい機能でサービスの追加が必要な場合、同じパッチで、コードとインフラストラクチャを変更することができます。