パフォーマンスを管理する
早すぎる最適化は諸悪の根源です。
過去にこの引用を見たことがあるかもしれませんが、完全な形で引用したいと思います:
だいたい97%くらいのケースでは、小さな効率化に関しては忘れるべきです。早まった最適化は諸悪の根源です。しかしながら、残りのクリティカルな3%内の効率化の機会を捨てないようにしましょう。
-- Donald Knuth
EコマースのようなWebサイトでは、小さなパフォーマンス改善が効いてくることがあります。ゲストブックアプリケーションが、大人気になったときのこと考えて、パフォーマンスの調べ方を見ていきましょう。
パフォーマンスの最適化を調べる最善の方法は、 プロファイラー を使うことです。現時点で最も人気のあるプロファイラーは、 Blackfire です(免責事項: 私は Blackfire プロジェクトの創設者でもあります)。
Blackfire を使ってみる
Blackfire は複数のパーツから構成されています:
- プロファイルをトリガーする クライアント (Blackfire CLI ツールもしくは Google Chrome や Firefox のブラウザ拡張);
- blackfire.io でデータの表示をするために送る前の、データを準備して集計する エージェント;
- PHPコードを測定するPHP 拡張( probe )
Blackfire を使うには、まず ユーザー登録 する必要があります。
次のインストールスクリプトを実行してローカルマシンに Blackfire をインストールしてください:
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$ curl https://installer.blackfire.io/installer.sh | bash
このインストーラーは、 Blackfire CLI をダウンロードしてインストールします。
完了したら、利用可能なすべてのPHPバージョンについてPHP probeがインストールされます:
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$ sudo blackfire php:install
そしてプロジェクトで PHP Probe を有効化してください:
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--- a/php.ini
+++ b/php.ini
@@ -7,3 +7,7 @@ session.use_strict_mode=On
realpath_cache_ttl=3600
zend.detect_unicode=Off
xdebug.file_link_format=vscode://file/%f:%l
+
+[blackfire]
+# use php_blackfire.dll on Windows
+extension=blackfire.so
Web サーバーをリスタートして、PHP に Blackfire をロードさせます:
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$ symfony server:stop
$ symfony server:start -d
Blackfire CLI ツールは、あなたの クライアント のクレデンシャルで設定する必要があります(あなたの個人アカウント以下のプロジェクトプロファイルに格納されます)。 Settings/Credentials
ページ の上部にありますので、次のコマンド内のプレースホルダーを入れ替えて実行してください:
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$ blackfire client:config --client-id=xxx --client-token=xxx
Docker に Blackfire のエージェントをセットアップする
BlackfireエージェントサービスはDocker Composeで既に有効になっています:
サーバーと通信するために、あなた個人の サーバー クレデンシャルが必要です(これらのプロファイルを格納するクレデンシャルのIDは、各プロジェクト毎に作成することができます); Settings/Credentials
ページ の最下部にあります。secretsとして保存してください:
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$ symfony console secrets:set BLACKFIRE_SERVER_ID
# xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
$ symfony console secrets:set BLACKFIRE_SERVER_TOKEN
# xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
これで新しいコンテナを起動することができます:
1 2
$ docker-compose stop
$ docker-compose up -d
Blackfire のインストール失敗を修正する
プロファイリングの際にエラーになったら、 Blackfire のログレベルを変更し、より詳細の情報が吐かれるようにします:
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--- a/php.ini
+++ b/php.ini
@@ -10,3 +10,4 @@ zend.detect_unicode=Off
[blackfire]
# use php_blackfire.dll on Windows
extension=blackfire.so
+blackfire.log_level=4
Webサーバーをリスタートしてください:
1 2
$ symfony server:stop
$ symfony server:start -d
ログを tail してください:
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$ symfony server:log
もう一度プロファイルして、ログの出力をチェックしてください。
本番で Blackfire を設定する
全ての Platform.sh のプロジェクトでは、デフォルトで Blackfire が使用できます。
server クレデンシャルを production のシークレットとして設定してください:
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$ symfony console secrets:set BLACKFIRE_SERVER_ID --env=prod
# xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
$ symfony console secrets:set BLACKFIRE_SERVER_TOKEN --env=prod
# xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
他の必要なPHP拡張とPHP probeは既に有効になっています:
Blackfire 用に Varnish を設定する
プロファイリング開始のためのデプロイをする前に、HTTP キャッシュの Varnish へのバイパスが必要です。バイパスなしでは、 Blackfire は、 PHP アプリケーションまで到達できません。ローカルマシンからのプロファイルのリクエストだけ許可を与えます。
あなたの現在の IP アドレスを調べてください:
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$ curl https://ifconfig.me/
そして、そのIPアドレスを使って Varnish を設定してください:
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--- a/.platform/config.vcl
+++ b/.platform/config.vcl
@@ -1,3 +1,11 @@
+acl profile {
+ # Authorize the local IP address (replace with the IP found above)
+ "192.168.0.1";
+ # Authorize Blackfire servers
+ "46.51.168.2";
+ "54.75.240.245";
+}
+
sub vcl_recv {
set req.backend_hint = application.backend();
set req.http.Surrogate-Capability = "abc=ESI/1.0";
@@ -8,6 +16,16 @@ sub vcl_recv {
}
return (purge);
}
+
+ # Don't profile ESI requests
+ if (req.esi_level > 0) {
+ unset req.http.X-Blackfire-Query;
+ }
+
+ # Bypass Varnish when the profile request comes from a known IP
+ if (req.http.X-Blackfire-Query && client.ip ~ profile) {
+ return (pass);
+ }
}
sub vcl_backend_response {
これでデプロイができます。
Webページをプロファイルする
Firefox や Google Chrome の 専用の拡張 で、従来の Web ページのプロファイルをすることができます。
ローカルマシーンでは、config/packages/framework.yaml
内で HTTP キャッシュを無効化するのを忘れないでください。有効なままですと、コードのプロファイルではなく、 Symfony の HTTP Cache のプロファイルをすることになってしまいます。
本番でアプリケーションのパフォーマンスをより詳細に測るために、 "本番" 環境でもプロファイルすべきです。デフォルトでは、ローカルの環境は、オーバーヘッドの大きい "development" 環境を使用しています(WebデバッグツールバーやSymfony Profilerでデータを集めています)。
Note
"production" 環境をプロファイルしたいので、設定は変更する必要がありません。前の章ではSymfonyのHTTPキャッシュは "development" 環境についてのみ設定したからです。
ローカルマシンを本番環境にスイッチするには、.env.local
ファイルの環境変数 APP_ENV
を変更します:
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APP_ENV=prod
もしくは、 server:prod
コマンドを使用することができます:
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$ symfony server:prod
プロファイリングのセッションが終わったら、dev へ戻すのを忘れないでください:
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$ symfony server:prod --off
API のリソースをプロファイルする
API や SPA のプロファイリングは、先程インストールした Blackfire CLI ツールから行った方がベターです:
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$ blackfire curl `symfony var:export SYMFONY_PROJECT_DEFAULT_ROUTE_URL`api
blackfire curl
コマンドは、 cURL コマンドと同じ引数とオプションを受け付けます。
パフォーマンスを比較する
"キャッシュ" でのステップでは、コードのパフォーマンスを改善するためにキャッシュレイヤーを追加しましたが、それによるパフォーマンスのインパクトを調べたり、測ったりはしていませんでした。何が早くて何が遅いかを想像でしか見ていなかったので、いくつかの最適化が実際はアプリケーションを遅くしている可能性もあります。
常にプロファイラーで最適化のインパクトを測るべきです。 Blackfire の 比較機能 を使うと視覚的に見ることができます。
ブラックボックスなファンクショナルテストを書く
Symfony でファンクショナルテストを書く方法を見てきましたが、 Blackfire player を使えば、ブラウジングのシナリオを書くことができます。新しいコメントを投稿し、開発環境ではメールのリンクで、本番環境では管理者によって、バリデートするシナリオを書いてみましょう。
次の内容で .blackfire.yaml
ファイルを作成してください:
Blackfire プレイヤーをダウンロードして、ローカルでシナリオを実行できるようにします:
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$ curl -OLsS https://get.blackfire.io/blackfire-player.phar
$ chmod +x blackfire-player.phar
開発環境でシナリオを実行してください:
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$ ./blackfire-player.phar run --endpoint=`symfony var:export SYMFONY_PROJECT_DEFAULT_ROUTE_URL` .blackfire.yaml --variable "webmail_url=`symfony var:export MAILER_WEB_URL 2>/dev/null`" --variable="env=dev" -vv
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$ rm blackfire-player.phar
本番でも実行してください:
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$ ./blackfire-player.phar run --endpoint=`symfony cloud:env:url --pipe --primary` .blackfire.yaml --variable "webmail_url=NONE" --variable="env=prod" -vv
Blackfire のシナリオは、 --blackfire
フラグを付けることで、各リクエストでプロファイリングをトリガーし、パフォーマンステストを実行することもできます。
パフォーマンスチェックを自動化する
パフォーマンスを管理することは既存のコードのパフォーマンスを改善するだけではなく、パフォーマンスが悪くなっていないかチェックすることでもあります。
前のセクションで書いたシナリオは、自動的にCI ワークフローで実行され、また、本番でも定期的に実行されます。
Platform.sh では、新しくブランチを作った際、または、本番にデプロイされた際に、`run the scenarios`_ で、新しいコードのパフォーマンスを自動的にチェックします。