settings.yml 設定ファイル
symfony のコンフィギュレーションの大半は YAML もしくはプレーンな PHP で書かれた設定ファイルを通じて変更できます。この章では settings.yml
ファイルを説明します。
アプリケーションの settings.yml
ファイルは apps/APP_NAME/config/
ディレクトリに配置されています。
設定ファイルの原則の章で述べたように、settings.yml
ファイルでは、環境が認識され、コンフィギュレーションカスケードのメカニズムがはたらいています。
それぞれの環境には2つのサブセクション (.actions
と .settings
) が設けられています。共通ページにおいてレンダリングされるデフォルトのアクション以外、すべてのコンフィギュレーションディレクティブは .settings
サブセクションにとりそろえられています。
note
settings.yml
ファイルのキャッシュは PHP ファイルとして保存されます。処理は sfDefineEnvironmentConfigHandler
クラスにゆだねられます。
設定
.actions
.settings
.actions
サブセクション
デフォルトコンフィギュレーション:
default: .actions: error_404_module: default error_404_action: error404 login_module: default login_action: login secure_module: default secure_action: secure module_disabled_module: default module_disabled_action: disabled
.actions
サブセクションは共通ページがレンダリングされる際に実行されるアクションを定義します。それぞれの定義には2つの要素が用意されており、1つはモジュール (サフィックスは _module
) で、もう1つはアクション (サフィックスは _action
) です。
error_404
error_404
アクションは404ページがレンダリングされる際に実行されます。
login
login
アクションは認証されていないユーザーが認証を必要とするページにアクセスしようとすると実行されます。
secure
secure
アクションはアクセスしてきたユーザーが必須のクレデンシャルをもっていない場合に実行されます。
module_disabled
module_disabled
アクションはユーザーが無効なモジュールをリクエストした際に実行されます。
.settings
サブセクション
.settings
サブセクションではフレームワークの設定を調整します。下記の段落では、利用可能なすべての設定項目を説明します。設定項目はおおまかな重要度順で並べられています。
.settings
セクションで定義されているすべての設定項目の名前は設定の名前にプレフィックスの sf_
をつけたものであり、sfConfig
オブジェクトを通じて任意の場所で利用できます。たとえば charset
設定の値を得るには、コードを次のように書きます。
sfConfig::get('sf_charset');
escaping_strategy
デフォルト: true
escaping_strategy
設定は出力エスケーパサブフレームワークを有効にするかどうかを決めます。この設定はブール値をとります。この設定が有効な場合、escaping_method
設定で定義されているヘルパー関数が呼び出され、テンプレートのなかで利用可能なすべての変数は自動的にエスケープされます (下記の説明をご参照ください)。
escaping_method
設定がデフォルトのヘルパーであることにご注意ください。ケースバイケースでこの設定をオーバーライドすれば、たとえば JavaScript スクリプトタグのなかで変数を出力するなどの状況に対処できます。
出力エスケーパサブフレームワークはエスケープの際に charset
設定を使います。
設定の値はデフォルトの true
のままにしておくことをぜひおすすめします。
tip
アプリケーションを generate:app
タスクで作る際に --escaping-strategy
オプションを指定すれば、エスケープは自動的に有効になります。
escaping_method
デフォルト: ESC_SPECIALCHARS
escaping_method
設定はテンプレートのなかでエスケープに使われるデフォルトの関数を定義します (上記の escaping_strategy
設定をご参照ください)。
組み込み関数の1つを選ぶ、もしくは自前の関数を作ることができます (ESC_RAW
、ESC_ENTITIES
、ESC_JS
、
ESC_JS_NO_ENTITIES
と ESC_SPECIALCHARS
)。
ほとんどの場合、デフォルトで事足ります。英語もしくはヨーロッパの言語だけを扱う場合には ESC_ENTITIES
ヘルパーを選ぶこともできます。
csrf_secret
デフォルト: ランダムに生成される秘密の文字列
csrf_secret
設定はアプリケーションにおいて一意性のある秘密の文字列です。この設定に false
がセットされていないかぎり、フォームフレームワークで定義されているすべてのフォームで CSRF 対策機能が有効になります。この設定は link_to()
ヘルパーにも使われ、リンクをフォームに変換することが必要な場合に役立ちます (たとえば HTTP DELETE
メソッドをシミュレートしたい場合)。
デフォルトをあなたが選んだ一意性のある秘密の文字列に変更しておくことをぜひおすすめします。
tip
generate:app
タスクでアプリケーションを作る際に --csrf-secret
オプションを指定すれば、CSRF 対策機能は自動的に有効になります。
charset
デフォルト: utf-8
charset
設定はフレームワークのあらゆる場所で使われる文字集合を指定します。この設定の利用範囲はレスポンスの Content-Type
ヘッダーから出力エスケーピングまでおよびます。
ほとんどの場合、デフォルトで事足ります。
warning
この設定の値はフレームワークのさまざまな場所で使われるので、複数の場所に保存されます。この設定を変更した後では、開発環境であっても、コンフィギュレーションのキャッシュをクリアしなければなりません。
enabled_modules
デフォルト: [default]
enabled_modules
設定はこのアプリケーションで有効にするモジュールの名前の配列です。デフォルトでは、プラグインもしくは symfony コアで定義されているモジュールは有効ではなく、これらにアクセスできるようにするには、この配列につけ加えなければなりません。
モジュールの追加方法はシンプルで、リストに名前を加えるだけです (モジュールの順序は問いません)。
enabled_modules: [default, sfGuardAuth]
settings.yml
ファイルの .actions
サブセクションであらかじめ定義されているすべてのデフォルトアクションは symfony フレームワークの default
モジュールに収められています。これらすべてをカスタマイズし、この設定から default
モジュールを除外しておくことをおすすめします。
default_timezone
デフォルト: なし
default_timezone
設定は PHP が使うデフォルトのタイムゾーンを定義します。この設定は PHP が認識する任意のタイムゾーンをとります。
note
タイムゾーンは php.ini
ファイルのなかで設定しておくことをおすすめします。そうでなければ、symfony は PHP の date_default_timezone_get()
関数を呼び出して、最善のタイムゾーンを推測します。
cache
デフォルト: false
cache
設定はテンプレートのキャッシュを有効もしくは無効にします。
tip
キャッシュシステム全体のコンフィギュレーションを変更できる場所は factories.yml
ファイルの view_cache_manager
と view_cache
セクションです。コンフィギュレーションをきめ細かく調整できる場所は cache.yml
ファイルです。
etag
デフォルト: dev
と test
環境を除いて、デフォルトでは true
etag
設定は HTTP の ETag
ヘッダーの自動生成を有効もしくは無効にします。レスポンスのコンテンツにおいて、symfony によって生成される ETag ヘッダーは単純な md5 のハッシュです。
i18n
デフォルト: false
i18n
設定は国際対応サブフレームワークを有効もしくは無効にします。この設定はブール値をとります。国際対応したアプリケーションを開発するのであれば、この設定に true
をセットします。
tip
国際対応システム全般において、コンフィギュレーションを変更できる場所は factories.yml
ファイルの i18n
セクションです。
default_culture
デフォルト: en
default_culture
設定は国際対応サブフレームワークで使われるデフォルトのカルチャを定義します。この設定は任意の有効なカルチャの文字列をとります。
standard_helpers
デフォルト: [Partial, Cache]
standard_helpers
設定はすべてのテンプレートのなかでロードされるヘルパーグループの配列です (ヘルパーグループの名前にはサフィックスの Helper
をつけません)。
no_script_name
デフォルト: 新しいアプリケーションの prod
環境では true
、それ以外の環境では false
no_script_name
設定は生成される URL にフロントコントローラスクリプトの名前をつけ足すかどうかを決めます。generate:app
タスクによって作られた新しいアプリケーションの prod
環境において、この設定には true
がセットされています。
すべてのフロントコントローラが同じディレクトリ (web/
) に配置されている場合、この設定に true
をセットできるのはあきらかに1つのアプリケーションと環境にかぎられます。no_script_name
設定に true
がセットされているアプリケーションが複数必要であれば、該当するフロントコントローラを Web 公開ディレクトリに移動させます。
lazy_cache_key
デフォルト: 新しいプロジェクトでは true
、アップグレードしたプロジェクトでは false
lazy_cache_key
設定が有効な場合、キャッシュキーの生成はアクションもしくはパーシャルがキャッシュ可能になるまで延期されます。テンプレートパーシャルの使いかたしだいではパフォーマンスを大きく改善できます。
file_link_format
デフォルト: なし
デバッグメッセージにおいて、sf_file_link_format
設定もしくは PHP の xdebug.file_link_format
ディレクティブに値がセットされている場合、ファイルパスはクリック可能なリンクに変換されます。たとえば、ファイルが TextMate で開かれるようにしたいのであれば、次の値をセットします。
txmt://open?url=file://%f&line=%l
%f
プレースホルダはファイルの絶対パスに置き換わり、%l
プレースホルダは行番号に置き換わります。
logging_enabled
デフォルト: prod
以外のすべての環境では true
logging_enabled
設定はロギングサブフレームワークを有効にします。この設定に false
がセットされていれば、ロギングメカニズムが回避され、パフォーマンスが少し改善されます。
tip
ロギングのコンフィギュレーションをきめ細かく調整できる場所は factories.yml
ファイルです。
web_debug
デフォルト: dev
以外のすべての環境では false
web_debug
設定はデバッグツールバーを有効にします。レスポンスの Content-Type ヘッダーに HTML がセットされている場合、デバッグツールバーがページに投入されます。
error_reporting
デフォルト:
prod
: E_PARSE | E_COMPILE_ERROR | E_ERROR | E_CORE_ERROR | E_USER_ERRORdev
: E_ALL | E_STRICTtest
: (E_ALL | E_STRICT) ^ E_NOTICE- デフォルト: E_PARSE | E_COMPILE_ERROR | E_ERROR | E_CORE_ERROR | E_USER_ERROR
error_reporting
設定は PHP のエラーレポートのレベルをコントロールします (ログに書き込まれ、ブラウザに表示されます)。
tip
ビット演算子の解説は PHP 公式マニュアルに掲載されています。
デフォルトのコンフィギュレーションがもっとも理にかなったものであり、変更すべきではありません。
note
prod
環境のフロントコントローラでは debug
設定が無効になっているので、ブラウザのエラー表示は自動的に無効になります。
compressed
デフォルト: false
compressed
設定は PHP ネイティブなレスポンス圧縮を有効にします。この設定に true
がセットされている場合、ob_gzhandler()
関数が ob_start()
関数のコールバックに使われます。
この設定に false
をセットしておいたままにしておいて、Web サーバーに備わっている圧縮メカニズムを利用することをおすすめします。
use_database
デフォルト: true
use_database
設定はアプリケーションでデータベースを使うかどうかを決めます。
check_lock
デフォルト: false
check_lock
設定は cache:clear
や project:disable
タスクなどによって実行されるアプリケーションのロックシステムを有効もしくは無効にします。
この設定に true
がセットされている場合、無効なアプリケーションへのリクエストはすべて自動的に symfony コアの lib/exception/data/
ディレクトリに配置されている unavailable.php
ページにリダイレクトされます。
tip
config/unavailable.php
ファイルをプロジェクトもしくはアプリケーションに追加すれば、アプリケーションが無効なときに表示されるページのデフォルトテンプレートをオーバーライドできます。
web_debug_web_dir
デフォルト: /sf/sf_web_debug
web_debug_web_dir
設定には Web サイトにおけるデバッグツールバーのアセット (画像、スタイルシートそして JavaScript ファイル) へのパスがセットされます。
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